住宅のバリアフリー改修について

介護が必要な身体になったとしても、何十年も家族と暮らし、住み慣れた自宅でこれからも暮らしたい、というのは、ご本人にとっても、また介護をする家族の方にとっても、ごく自然な思いです。
そこで、介護保険では、介護に必要な「特定の住宅改修」にかかった費用の支給をおこなう制度を設けています。改修工事をおこなう住宅は、介護保険被保険者証の記載住所と同一である必要があります。なお、住まいが借家である場合でも申請は可能ですが、所有名義人の許可が必要となります。

この住宅改修費は、介護度(要支援・要介護)を問わず、1人あたり20万円まで一律に支給されます。
ただし、その1割の2万円(2割負担の方は、16万円)は自己負担額なので、つまりは18万円(2割負担の方は、16万円)が支給の上限額です。上限額ですので、何回かにわけて使うことも可能ですが、あくまで「上限が20万円」なので、例えば30万円の工事費がかかったとして、介護保険が持ってくれる費用は20万×9割(2割負担の方は、8割)=18万円(2割負担の方は、16万円)どまりであり、残りの12万円(2割負担の方は、14万円)は、自己負担となる点は注意が必要です。

介護保険の住宅改修の対象となる工事は、以下の7項目に限定されており、原則として工事着工の前にあらかじめ「市区町村の同意」を得ておかなければなりません。
※あくまで住宅改修(リフォーム)が対象で、トイレや浴室、室内エレベーターなどの新設工事は対象外です。

(1)手すりの取付け(転倒防止の廊下、トイレ、浴室の手すりなど)
(2)段差の改修(床段差の解消・スロープの設置など)
(3)床材の変更(すべりを防止、畳からフローリングへなど)
(4)扉の取替え(引き戸やアコーディオンカーテンなどへ)
(5)洋式便器への取替え(和式便器を洋式便器へ)
(6)転倒防止柵の設置
(7)上記の5つに付帯して、必要となる住宅改修

 玄関外の施工例

段差部分に手すりを取り付けることにより、滑って転倒などの危険を減らし、外出への意欲をもたせます。

 玄関内の施工例

上がりかまちの段差を分割したり、手すりを取り付けることにより、足腰への負担を軽減します。

 廊下の施工例

廊下に手すりを取り付け、自宅の中を安全に、自由に歩行できる様にします。

 浴室の施工例

おこりやすい浴室での事故を防ぐため、浴槽またぎ時や浴槽への出入りの際に助けとなります。

 トイレの施工例

着座時や立ち上がり時に使える手すりがあることで、狭いトイレ内での危険を防止します。